2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J06294
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
古川 正紘 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 触覚提示 / 触覚コミュニケーション / 感覚統合 / くすぐり / 遠隔地コミュニケーション |
Research Abstract |
遠隔地にいながらお互いの顔を見たり会話をしたりするだけでなく,触れ合えるコミュニケーションが求められている.この技術の鍵となるのが,視聴覚情報だけではない触覚情報の伝達技術である.しかし従来技術は,装置の装着が必要となるだけでなく装置の大型化が課題として指摘されていた.そこで本研究では,身体近傍を触覚提示部位として利用した手法を提案しこれらの諸問題を解決する. ヒトが皮膚表面ではなく身体近傍から触覚を得るための経路には,(1)体毛と(2)視覚という2つの経路がある.前者は物理的な感覚受容器を介して触覚を受容するが,後者は視覚的な手がかりが触覚的に感じられる感覚統合という現象である.昨年度は前者の体毛を介した触覚の定量化を行なった. 本年度は後者の視覚に焦点を当て,身体近傍で視覚的な運動を触覚として知覚するという脳活動に着目した.これは,くすぐる行為を身体近傍で見るだけでもくすぐったさを感じてしまう事例として知られている.そこで,掌の上の運動から視覚的にくすぐったさを得られることを実験的に明らかにした.この知見を踏まえ,他者の指の動きを掌に重畳し,実時間で共有することであたかも他者が体表面をくすぐるかのような動きを提示する手法を提案した.本手法は携帯端末上で動作するため装置を装着する必要がないだけでなく,掌に限らず直接目で見ることができる部位に広く適用可能という特徴もつ.すなわち,くすぐりという触覚的コミュニケーションを遠隔地間で共有できる環境を実現できた.このことから,身体近傍として触覚提示部位に着目した本成果を用いることで,従来の触覚提示における技術的課題を解決し,触れ合えるコミュニケーションを実現できたといえる.
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Research Products
(6 results)