2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J06313
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
加藤 君子 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 発生生物学部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 網膜 / 発生 / Blimp1 / 運命決定 |
Research Abstract |
研究従事者は,平成21年度にPrdmファミリー転写抑制因子Blimp1が網膜視細胞へと運命づけられた細胞において,視細胞への運命を固定し,網膜の他の細胞系譜の細胞へと運命転換するのを抑制する機能をもつことを明らかとした。Blimp1を網膜において特異的に欠損させると(Blimp1 CKO),視細胞が双極細胞様の細胞あるいは増殖性の細胞へと運命転換し,その後アポトーシスにより排除される。平成22年度は,運命転換した細胞がどのように認識され,アポトーシスに至るのかを解明することを目的として研究を行った。このメカニズムとして,細胞の記憶装置ともいわれるヒストン修飾に着目した。G9aは血球系細胞においてBlimp1と結合することが報告されているヒストンメチル化酵素である。G9aを網膜特異的に欠損させたところ,Blimp1 CKO網膜と同様に視細胞の減少とアポトーシスの増加,異所性の双極細胞様細胞および増殖性の細胞が認められた。このことから,Blimp1は視細胞の運命を固定する際にG9aを用いて不適切遺伝子にヒストンメチル化マークを付与していることが示唆された。さらに,G9aはヘテロクロマチン形成に関与していることから,これまで報告はないが,ヘテロクロマチン形成が,自身が視細胞であるという記憶の形成に重要な役割を果たしている可能性が考えられる。エピジェネティックな発生制御に関しては,脳をはじめとする種々の組織やES細胞等でその重要性が明らかとなってきており,今後の展開が大いに期待できる。
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Research Products
(5 results)