2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J06313
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 君子 Kyoto University, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 網膜 / 視細胞 / 分化 |
Research Abstract |
申請者はこれまでの解析において、網膜前駆細胞特異的に転写因子Blimp1を欠損させると視細胞が半減し、逆に一過性に双極細胞様細胞および増殖性細胞が増加することを明らかとしていた。Blimp1は視細胞へと運命決定した後に発現する転写因子であるため、一旦視細胞へと運命決定した細胞がBlimp1欠損により再び細胞周期に入り、双極細胞へと運命を転換させた可能性が示唆された。そこで、本研究課題においては、遺伝子発現ネットワークに着目することにより、運命決定した細胞においてどのような制御機構が働いているのかを解明し、視細胞の分化メカニズムを理解することを目的とした。本年度は(1)下流遺伝子の探索(マイクロアレイ解析、ルシフェラーゼアッセイ、網膜ChIP)、(2)相互作用分子の探索(酵母ツーハイブリッド)、(3)機能性相補分子の探索(マイクロアレイ解析)、(4)トランスジェニックマウスを用いた視細胞運命追跡実験、および(5)Blimp1過剰発現解析(in vivoエレクトロポレーション)を行った。この結果、網膜前駆細胞から視細胞に運命決定を行う過程において、Blimp1は、視細胞前駆細胞が双極細胞や増殖性細胞への不適切な運命転換を抑制する働きをすることが明らかとなった(Katoh et al., J.Neurosci, 2010, in press)。また、その分子機構として、Blimp1によるChx10の抑制が寄与していることを見出した。このことは、正常な視細胞の運命決定には、Otx2などによる正の制御因子による遺伝子活性化だけでは十分ではなく、Blimp1のような転写抑制因子によって視細胞への分化を安定化することが必須であるという、新しい制御機構を示しており非常に意義深いものと考えられる。
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Research Products
(5 results)