2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J06357
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
門田 洋一 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 形状記憶圧電アクチュエータ / 圧電アクチュエータ / ドメインスイッチング / Preisach model |
Research Abstract |
本研究は,従来の圧電アクチュエータとは異なる原理で駆動し,パルス電圧で駆動でき,電圧を印加し続けなくても発生した電界誘起歪みを維持することができる,形状記憶圧電アクチュエータの原理の解明,設計,パフォーマンスの向上を目的とするものである.本年度は,前年度で解明されたミクロな原理である非180°ドメインのスイッチングによる歪みから,マクロな歪みを計算できるモデルを考案した. 形状記憶圧電アクチュエータの歪みのモデル化をPreisachモデルと呼ばれるモデルを用いて行った.Preisachモデルはヒステリシスのモデリング手法の1つで,角形のヒステリシス特性を持つヒステロンと呼ばれるヒステリシスオペレータを最小構成要素とし,システムをその並列結合として表すものである.従来は磁気ヒステリシスやD-Eヒステリシスのモデル化に用いられてきた.通常のPreisachモデルではヒステロンの取りうる値は2値のみであり,例えば強誘電体の分極が+Pまたは-Pに対応する.しかし,形状記憶圧電アクチュエータにおいては,分極が+Pまたは0または-Pの3状態を扱う必要がある.そこで新たに3つの値を取りうるヒステロンを考案し,これを用いてモデル化を行った.提案したヒステロンでは,それぞれが+Pまたは0または-Pの値を取るため,そのドメイン状態の変化を計算することができる.これによりドメインスイッチングによる歪みを計算できる.実際にドメインスイッチングによる歪みを計算し,さらに逆圧電効果よる歪みを考慮することで,実験結果と良く一致する計算結果を得た.本モデルを用いれば,非対称電圧下における歪み特性を推測することができるため,形状記憶圧電アクチュエータに適した材料を選択する場合にも有用である.
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Research Products
(3 results)