2009 Fiscal Year Annual Research Report
局所伝熱制御を用いた高精度医療技術の開発に関する研究
Project/Area Number |
09J06371
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
武田 洋樹 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 凍結手術 / ペルチェ効果 / 冷却制御 / 致死温度 / 医工学 / 生体内実験 |
Research Abstract |
現在臨床で応用されている冷却法は十分な制御がなされておらず、不十分な冷却や過剰な冷却により病巣の残留や手術痕の発生などの問題が生じている。本研究では工学的アプローチによる高精度な冷却治療の実現を目指し、治療時の冷却制御および内部温度の定量的評価を行った。特に、本研究では最も冷却制御が重要となる皮膚の凍結手術に着目し、動物実験および臨床実験による理想的な冷却条件の検討や細胞の致死温度の検討を行った。 皮膚の凍結手術においては、皮下組織が損傷した場合手術痕が残留しやすいということが問題となっている。そのため、皮下組織への損傷を抑え、かつ表面付近の病巣を可能な限り低温に凍結させることが重要となる。しかしながら組織の冷却条件を検討した多くの研究は単細胞や組織薄膜が用いられており、現実的な治療へ応用することは困難であった。本研究では過去に開発されたペルチェ効果による高精度制御と液体窒素による高速度冷却を共に実現することのできるペルチェクライオプローブを用いたモルモットの皮膚冷却実験を行い、どのような冷却方法が最も理想的な冷却法となるかを調べ、最も治療効果の高く、皮下組織への損傷の小さい冷却条件を明らかにした。これは臨床にそのまま応用可能な冷却方法であり、新たな皮膚凍結手術の可能性を示したといえる。 また、本研究では数値計算と冷却実験との融合による皮膚の各層の致死温度についても検討を行った。その結果、皮下組織は-3℃~-7℃で壊死することが明らかとなった。このように実際の凍結手術と同様の条件で組織の致死温度を定量的に評価した例はなく、本結果は新たな冷却法の検討において重要な指標となると考えられる。
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Research Products
(6 results)