2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J06377
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長澤 由紀 (橋本 由紀) 東京大学, 社会科学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 労働経済学 / 外国人労働者 / 外国人技能実習制度 / 構造改革特区 |
Research Abstract |
1外国人労働者の雇用と企業経営に関する研究 連合総研が全国の製造企業を対象に行ったアンケート調査の個票を用いて,どのような特徴をもつ企業が外国人労働者の雇用を志向するのかを明らかにした。企業の特徴をコントロールした上で,施策の経営指標への効果を比較・検討する研究が多い中,データの特長を生かして,逆に,雇用の結果生じた効果(フィードバック効果)をコントロールすることで企業の特徴を解明しようとする本研究のアプローチは,これまでほとんどみられなかったものである。検討の結果,人件費の高さに悩み,思うように日本人の若年労働者の定着が進まない企業,熟練技能者確保の将来の見通しが立たないような企業で,外国人雇用を予定する確率が有意に高いことがわかった。 2外国人研修生特区の政策評価に関する研究 本研究では,「外国人研修生特区」の一つである「愛媛県東予地域外国人研修生受入れ特区」に着目し,特区による外国人研修生の受入れ拡大が,受入事業所や地域の労働市場に及ぼした影響を,工業統計調査の個票を用いて評価する。分析の結果,特区認定後に外国人研修生の受入数を増加させた事業所は,同時に,非正規従業員比率を減少させていた。これは,外国人研修生と日本人非正規従業員との間の代替性を示唆する。外国人(移民)労働者の流入によって,自国労働者の雇用が喪失するか否か,すなわち両者の雇用の代替性に関する研究は,移民労働者に関する重要論点であり,外国人労働者の受入れ拡大を検討する議論の一助となるものである。
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Research Products
(3 results)