2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J06384
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平野 邦生 Kyoto University, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞融合 / 再プログラム化 / iPS細胞 / 胚体外組織 / 多能性幹細胞 / ES細胞 / 微細孔 / 融合細胞再分離 |
Research Abstract |
本研究の目的は個人用万能幹細胞を樹立する技術を確立することである。細胞融合、及び再分離の実験を行うのに先立って以下の点の実証を行った。 内容:1,レンチウィルスベクターを用いてヒト胎児肺線維芽細胞であるTIG-1にハイグロマイシン耐性遺伝子を、ヒトES細胞であるKhES1にピューロマイシン耐性遺伝子を導入した。電気的な手法で細胞融合を誘導した結果ハイグロマイシン・ピューロマイシン双方に耐性を持つ細胞株が得られた。この細胞株は形態的にヒトES細胞によく似ており核型は4倍体であった。ヒトES細胞に特徴的な多能性マーカー遺伝子・タンパク質の発現が見られた一方でTIG-1に特徴的な分化関連遺伝子の発現が消失していた。 2,ヒト出生時における羊膜、及びマウス出生直前における羊膜と卵黄膜から初代培養細胞系列を作成し、それらにレトロウィルスベクターによって多能性遺伝子(Oc4、Sox2、Klf4、c-Myc)を導入する事でiPS細胞化した。樹立されたiPS細胞株が多能性を有していることを免疫染色法やテラトーマ、キメラマウス作成法等により確認した。 本研究の意義:1,電気的な細胞融合法でも体細胞の再プログラム化が生じることが実証された。 2,胚体外組織に由来する細胞も胚体組織由来細胞と同様に再プログラム化出来ることが示される。 本研究の重要性:1,過去のヒトES細胞との融合による再プログラム化の研究にはポリエチレングリコール法が使用されており、細胞に有毒な試薬を用いない電気的細胞融合によっても再プログラム化が生じる事を確認する必要があった。 2,再プログラム化によって個人由来の幹細胞を樹立する際に、対象となる細胞は極力侵襲のない方法で採取される事が望まれる。出生時に廃棄されていた胚体外組織の細胞を利用が可能であれば出生直後に凍結保存しておくことで十分な個人由来細胞の入手源が確保できる。
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