2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J06384
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平野 邦生 京都大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞融合 / 再プログラム化 / 多能性 / ES細胞 / 染色体除去 / Oct4-GFP / 微小孔 / 融合細胞 |
Research Abstract |
1.染色体数異常による多能性幹細胞の増殖抑制 背景:細胞融合によって各細胞の染色体が混じりあった細胞が生じる可能性がある。 目的:染色体数バランスの不均衡に対する多能性幹細胞の寛容性を明らかにする。 方法:我々の開発した技術を用いてマウスES細胞及びマウス4倍体ES細胞からの染色体除去を行った。 結果:4倍体ES細胞から染色体1本を除去できたが、4倍体ES細胞から染色体2本、および2倍体ES細胞から染色体1本は除去できなかった。 意義:多能性幹細胞が生存・増殖する上で染色体数バランスは保たれる必要が有る。 重要性:細胞融合による再プログラム化を行う際には再分離までの間に染色体の混入による染色体数バランスの不均衡が生じないようにする必要がある事が示唆された。 2.染色体の混入を伴わない体細胞再プログラム化技術の開発 背景:成果1から、核成分が互いに混入しない細胞融合技術の必要性が分かった。 目的:細胞融合後に互いの核が接触しない状態を保ち、かつ細胞分裂を起こす前に再プログラム化を起こすデバイスを開発する。 方法:細胞核よりも小さな径(1.5μm)の微小孔を介して細胞融合を起こすデバイスを作成し、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンポリマーによりデバイス表面への細胞接着を阻害した。再プログラム化するマウス胎児線維芽細胞を、Oct4-GFPを内在的に持つ系統から樹立した。 結果:融合後の細胞は微小孔で括られた状態を保ち、約半数の(8/18例)融合細胞では自発的再分離や細胞分裂を経ずにOct4-GFP発現が誘導された。 意義:ES細胞と体細胞との細胞質成分のみを共有させ、細胞核の融合や細胞分裂を伴わずに再プログラム化を引き起こせるデバイスが開発された。 重要性:適切な細胞体分離技術と組み合わせることで、体細胞のみに由来する核成分を持った2倍体多能性幹細胞を樹立できる。
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