2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J06384
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平野 邦生 京都大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞融合 / リプログラミング / 多能性幹細胞 / ES細胞 / iPS細胞 / 微小孔 / 再生医科学 / 幹細胞治療 |
Research Abstract |
1. ヒト胚性幹(ES)細胞との細胞融合によるヒト体細胞のリプログラミング 目的:電気的刺激による細胞融合技術により、ヒト体細胞をヒトES細胞に近い多能性幹細胞へとリプログラミングする。 内容:ヒトES細胞とヒト胎児肺線維芽細胞とをトリプシン処理により単一細胞へ解離し、電気的刺激により細胞融合を誘導した。融合細胞を選択的培養条件で選別したところ、融合細胞は四倍体の核型を維持しており、また細胞形態や遺伝子発現がヒトES細胞と同様であった。 意義:再生医療に向けた免疫応答の無い個人由来多能性幹細胞の作製法として、細胞融合技術の有用性が示された。 2. 胚体外組織由来細胞のリプログラミング 目的:胚体外組織に由来する細胞を多能性幹細胞へリプログラミングする。 内容:ヒト羊膜から樹立した初代培養細胞を、iPS細胞誘導技術を用いてリプログラミングした。リプログラミング後の細胞株はヒトES細胞と同等の多能性関連遺伝子発現、及びテラ、トーマ形成能を示した。 意義:リプログラミング対象となる個人由来細胞の供給源として、非侵襲的に入手できる胚体外組織の利用価値を示した。 3. 新規細胞融合用デバイスの開発 目的:細胞融合を1細胞対1細胞の関係に制御し、かつ互いの核を隔離した状態でリプログラミングを誘導する。 内容:細胞核よりも小さな径(1.5mm)の微小孔を介して電気刺激による細胞融合を誘導するデバイスを開発した。GFP蛍光によりリプログラミングを可視化できるマウス体細胞とマウスES細胞とを融合させた結果、融合後も互いの細胞核を隔離した状態を保ち、GFP蛍光が観察された。 意義:細胞融合技術により個人用多能性幹細胞を作製する上で障害となる、個人由来細胞へのES細胞核の混入という問題に解決策を示した。
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