2009 Fiscal Year Annual Research Report
新しい作用機序を有する新規抗血小板薬の開発を目指した研究
Project/Area Number |
09J06386
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩下 真也 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 血小板 / コラーゲン / ピペロングミン |
Research Abstract |
心筋梗塞及び脳梗塞を代表とする虚血性循環障害には血栓形成が関与しており、その治療及び予防には抗血小板薬などが用いられているが、それら薬物の効果が十分であるとは言い難い。そこで私はコラーゲンと血小板に着目し、新たな作用機序を有する薬物の開発を試みている。ピペロングミンがコラーゲン誘発性血小板凝集を抑制することが示唆されているため、現在、その抑制作用機序の解明を目的に検討を行っている。今年度、コラーゲン誘発性血小板凝集の経路に特異的な分子であるcPLA_2及びPLC_<γ2>に対するピペロングミンの作用をウサギ洗浄血小板を用いて検討した。その結果、ピペロングミンはコラーゲン誘発性のcPLA_2活性化及びイノシトールリン脂質水解反応を抑制することが明らかになった。また、コラーゲンの受容体Glycoprotein VI(GPVI)の選択的なアゴニストConvulxin(Cvx)を用いて、Cvx誘発性血小板凝集に対するピペロングミンの作用を検討した結果、Cvx刺激によって惹起された血小板凝集をコラーゲン誘発性血小板凝集と同程度にピペロングミンは抑制することが明らかになった。また、Cvx誘発性イノシトールリン脂質水解反応に対するピペロングミンの作用も検討した結果、ピペロングミンはそれも濃度依存的に抑制することが明らかになった。従って、ピペロングミンはGPVIを介した情報伝達経路のイノシトールリン脂質水解反応の上流に作用して血小板凝集を抑制することが示唆された。さらに、ピペロングミンの有効性を評価するために、ヒト洗浄血小板に対する作用を検討した。その結果、ピペロングミンはコラーゲン及びCvx誘発性のヒト洗浄血小板凝集を濃度依存的に抑制することが明らかになった。本研究成果は、ピペロングミンをリードとした新規抗血小板薬の開発、虚血性循環障害の新たな治療及び予防に繋がると考えられる。
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Research Products
(4 results)