2010 Fiscal Year Annual Research Report
新しい作用機序を有する新規抗血小板薬の開発を目指した研究
Project/Area Number |
09J06386
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩下 真也 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 血小板 / コラーゲン / GPVI / ピペロングミン |
Research Abstract |
心筋梗塞及び脳梗塞を代表とする虚血性循環障害には血栓形成が関与しており、その治療及び予防には抗血小板薬が用いられている。しかし、それら薬物の効果は十分であるとは言い難いため、私はコラーゲンと血小板に着目し、新たな作用機序を有する薬物の開発を試みている。昨年度までに、コラーゲン受容体GPVIを介した血小板活性化をピペロングミンが抑制すること、またピペロングミンはイノシトールリン脂質水解反応の上流に作用して血小板凝集を抑制することを明らかにした。そこで今年度は、ピペロングミンの抑制作用メカニズムを詳細に検討した。 GPVIを介したイノシトールリン脂質水解反応は、SykによるホスホリパーゼCγ_2のリン酸化によって惹起されるため、その作用に対するピペロングミンの作用を検討した結果、ピペロングミンはGPVIアゴニストCRP誘発性のSykリン酸化を濃度依存的に抑制した。Sykの活性化はマイクロドメインである脂質ラフトを足場にして行われるため、脂質ラフト形成に対するピペロングミンの作用を検討した結果、ピペロングミンは脂質ラフトには影響を与えなかった。GPVIを介したSykリン酸化にはSrcキナーゼファミリーが重要な役割を担っていることから、Srcキナーゼ阻害薬PP2とピペロングミンの比較検討を行った。その結果、ピペロングミンの作用はPP2によるSrc阻害とも異なる可能性が示唆された。ピペロングミンのGPVIに対する直接の作用を受容体結合実験で検討するため、GPVIを認識する標識体CRPの作製を試みた。ペプチドであるCRPに蛍光物質であるFAM及びビオチンを用いて標識体CRPの作製を試みたが、いずれの標識体CRPも作製することができなかった。今後は、ラジオアイソトープを用いるなどして、標識体CRPを作製し、受容体結合実験を行いたいと考えている。
|
Research Products
(4 results)