2010 Fiscal Year Annual Research Report
セリウム触媒を利用した人工制限酵素の高機能化およびヒトゲノムの遺伝子操作への応用
Project/Area Number |
09J06399
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堅田 仁 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 人工制限酵素 / ヒトゲノム / 遺伝子組換え / 相同組換え |
Research Abstract |
初年度の研究において、人工制限酵素ARCUTを用いてin vitroでヒトゲノムを位置特異的に切断できること、またARCUTにより標的DNAに二本鎖切断(DSB)を導入することでヒト細胞内での相同組換え(HR)が促進されることを確認した。そこで二年目は、ARCUTによるヒトゲノムの遺伝子組換えを目的とし、HRをより高効率に誘起できる系の構築を目指した。 まず、in vitroでDSBを導入したプラスミドを細胞内に導入し、一定時間経過後に抽出してその配列を網羅的に解析した。その結果、HRにより組換わった目的のプラスミドは、全体の10%程度であり、残りの90%はHRではなく、非相同末端結合(NHEJ)により修復されたものであることが判明した。この結果から、より高効率にHRを誘起するために、NHEJによるDSB修復経路を抑制する手法を検討した。まず1点目は細胞周期の同調を利用した手法である。これは、HRが起こりやすくNHEJが起こりにくいとされるG2/M期に細胞を同調することで、相同組換えをより効率的に起こすという試みである。また、2点目はRNAiを利用してNHEJ関連タンパク質をノックダウンする手法である。結果として、いずれの手法を用いた場合においても、NHEJが抑制され、HRが最大2.4に高効率化することに成功した。 本研究では、最終的な目標であるヒトゲノムの遺伝子操作に向けて極めて重要な知見が得られた。
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Research Products
(4 results)