2009 Fiscal Year Annual Research Report
セリウム触媒を利用した人工制限酵素の高機能化およびヒトゲノムの遺伝子操作への応用
Project/Area Number |
09J06399
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堅田 仁 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 人工制限酵素 / ヒトゲノム / 遺伝子組換え / 相同組換え |
Research Abstract |
初年度は、研究目的であるヒトゲノムの遺伝子操作に向け、in vitroで実験系を構築し、人工制限酵素(ARCUT)を用いた(1)ヒトゲノムの位置特異的切断、および(2)相同組換えへの応用を行った。 (1)ヒト培養細胞から全ゲノムを抽出し、X染色体上に存在するFMR1遺伝子をターゲットとして切断実験を行った。切断断片をサザンブロッティングにより検出したところ、目的とする切断断片が得られ、ヒトゲノムの位置特異的切断を確認した。また、非特異的な切断の有無を確認するために、他の部位に存在する類似配列を検出するプローブを用いてサザンブロッティングを行ったが、バンドは検出されず、ARCUTは巨大なヒトゲノムを目的部位で切断する十分な位置特異性を有することが証明された。 (2)最終的なヒトゲノムの遺伝子操作に向け、ARCUTで切断したDNAがヒト細胞内で相同組換えにより修復されるかどうかについても検討した。本実験では、青色蛍光タンパク質(BFP)遺伝子をコードしたプラスミドをin vitroでARCUTを用いて切断し、ドナーとなる緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子断片とともにヒト細胞内に導入した。その結果、ARCUTで切断したBFPプラスミドは高効率でGFPプラスミドへと変換され、このことからARCUTにより切断された断片に対し、ヒト細胞内の相同組換え修復系が何ら問題なく機能することが証明された。 これらの知見は、最終目標であるヒトゲノムの遺伝子操作に向けて非常に重要なものであるとともに、Chemical Communications誌の表紙に選出されるなど、世界的にも大きく注目されている。今後は得られた知見をもとに、細胞内での遺伝子操作に向けた種々の条件検討を行う予定である。
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Research Products
(4 results)