2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J06423
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
菅原 泰晴 Chuo University, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 大質量星 / X線観測 |
Research Abstract |
私は高精度のX線分光観測という手法を用いて、太陽の20倍以上の質量を持つ大質量星、その進化末期段階にあるウォルフ・ライエ星(WR星)の「元素組成比・質量放出率」を定量的に求めることを目的として研究を行っている。具体的に2つの研究を行っている。 1、『X線分光観測による元素比の決定』:WC型WR星をX線で観測し、星から放出されるガス(星風)の中の炭素の組成が太陽における組成に比べ100倍も超過している証拠を直接得ている。この天体のX線放射領域の特定を目的としたXMM-Newton衛星の観測提案が受理され(菅原がPI)、再観測が実施された。現在そのデータ解析を行っており、スペクトル解析により、高温成分が短周期連星系起源であることを初めて示した(国内学会で報告)。さらにWO型WR星について、初の試みであるX線分光観測計画がXMM-Newton衛星で受理され(共同研究者として参加)、2010年1月に観測が実施された。私はこのデータの解析、解釈、原稿作成において主導的な役割を担う予定である。 2、『星風による重元素拡散の調査』:WR星と大質量主系列星(WR星より進化が若い)とで構成される連星系で、可視光観測により最も精密に軌道要素が求められている天体を観測対象として選び、すざく衛星による観測の提案書を作成し(共同研究者として参加)、その結果、異例の長時間観測で採択、観測された。連星間距離が最も小さくなる地点を含む4点を観測し、WR星からの距離の異なるプラズマサンプルが得られ、ここから放射されるX線の吸収や温度を測定した。現在までに、WR星からの星風の密度をWR星からの距離の関数として求め、その質量放出率を得ている(国内外の研究会で報告)。
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Research Products
(6 results)