2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体活性を示す有機-無機ハイブリッドの合成プロセスに関する研究
Project/Area Number |
09J06469
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高 美英 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 再生治療 / アルギン酸 / 自己硬化性 / 生体親和性 / 生体吸収性 / ゲル化 / Scaffold / カルボキシメチルセルロースナトリウム |
Research Abstract |
骨はヒトの運動機能を担う臓器であり、病気やけがで損傷を受けると、患者の生活の質は低下する。骨組織を修復するための次世代技術として、再生医療による骨の治療が研究されている。本研究では、骨組織の再生医療に用いるScaffoldを創製するために、生体吸収性と骨伝導性を併せ示す有機-無機ハイブリッドを基材に用いて、これに、新しい機能として止血効果や自己硬化する機能の付与を行い、新しい機能を持つ、骨再生用Scaffoldの創製を目的とした。 基材となる有機高分子としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム(sCMC)やアルギン酸ナトリウム(Alg)を用いた。sCMCやAlgは、生体内で次第に分解され、吸収される生体吸収性を示す。これに、架橋剤として、止血剤である6-aminocaproic acid (ACA)を化学的に導入した。従来Algの架橋剤として用いられてきたエチレンジアミン(EDA)に代えて、ACAを導入した。EDA : ACAのモル比が0から100までの範囲で均一で、透明なゲルが得られることが分かった。さらに無機成分として、生体吸収性セラミックスであるα-リン酸三カルシウム(α-TCP)を複合化した。架橋剤を導入しないAlgにα-TCPしても、ゲル化しないことが分かった。そこで架橋剤となるカルシウムイオンのを徐放するシステムの構築を目指した材料設計を、カルシウムイオン、グルタミン酸とα-TCPの複合体の組成で探索した結果、24時間以内でゲル化する複合体の合成が可能となった。 以上の結果から、骨組織の再生医療に用いるScaffoldに、止血効果や自己硬化性の付与が可能になることが分かった。
|
Research Products
(4 results)