2011 Fiscal Year Annual Research Report
キノリジジン骨格新規構築法の開発と生理活性ビスキノリジジンアルカロイドの合成研究
Project/Area Number |
09J06475
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
戸谷 博希 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 全合成 / Aconitine / アルカロイド |
Research Abstract |
Aconitineは、トリカブトから単離されたジテルペンアルカロイドである。電位依存性ナトリウムチャネルを活性化することにより、神経毒性を示すことが知られている。複雑かつ特異な炭素骨格上に多くの不斉中心と酸素官能基を有していることが挙げられ、その特徴的な構造から多くの合成化学者の興味を引きつけている。しかし、構造の複雑さ故に未だ全合成は達成されていない。我々は、C-H活性化反応に着目し、合成終盤に基本炭素骨格に対し、C-H酸化を行うことで、効率的な官能基導入ができると考えた。そこでまず、aconitineの基本炭素骨格を備えた四環性化合物の合成を目的として研究に着手した。 文献既知のヒドロキシケトンから合成したシロキシジエンと2-クロロアクリロニトリルとの分子間Diels-Alder反応により、ビシクロ[2.2.2]骨格を有する化合物を良好な収率で得ることに成功した。次に、6工程でトシラートへと変換後、シリカゲルを作用させたところ、Wagner-Meerwein転位反応が円滑に進行し、aconitineの基本炭素骨格を有する四環性化合物を合成することに成功した。本転位反応の反応機構に関する考察を行った結果、内部アルケンの存在が望む転位反応の進行に必須であることを見出した。今後は、合成した四環性化合物に対し酸素官能基を順次導入することで、aconitineの合成を達成することができると考えている。本研究はaconitineの合成を行うために極めて重要な知見を提供するものである。
|
Research Products
(2 results)