2010 Fiscal Year Annual Research Report
キノリジジン骨格新規構築法の開発と生理活性ビスキノリジジンアルカロイドの合成研究
Project/Area Number |
09J06475
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
戸谷 博希 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Petrosin / 全合成 / アルカロイド / 大員環 / 多核巨細胞形成抑制作用 / 逆転写酵素阻害作用 |
Research Abstract |
Petrosinは、逆転写酵素阻害および合胞体形成阻害を作用機序とする抗HIV作用を示すビスキノリジジンアルカロイドである。構造上の特徴として、キノリジジン環上の全ての不斉中心はretro-Mannich、Mannich反応が起きることにより容易にエピマー化し、天然物もジアステレオマー混合物として単離されている。過去にラセミ体の全合成が一例のみ報告されているが、その不斉全合成は未だ達成されていない。従って、ペトロシンの光学活性体を供給できれば、鏡像異性体間での生理活性の違い、さらにラセミ化の詳細なメカニズムの解明にもつながると考えた。特異な骨格を持つキノリジジンアルカロイドの合成研究を行うことで、多環性含窒素化合物の新しい合成法を見い出し、さらに誘導体化により、天然物の創薬リードとしてのさらなる有用性や可能性を探求することを目的として研究を行った。 Mannich反応とaza-Michael反応を用いた立体選択的キノリジジン環骨格構築、配座制御に基づく閉環メタセシスによる16員環形成を鍵として合成したpetrosinの両鏡像体を用いて合胞体形成阻害活性を評価した。その結果、両鏡像体間に生理活性の強さに違いが見られなかった。また、一つのキノリジジン環を有する部分構造を合成し活性を評価したところ、活性を全く示さなかった。このことから生理活性発現には二量体構造もしくは16員環が必須であることがわかった。今後は、更にpetrosinの誘導体を合成し、構造活性相関研究を行うとともに、ジテルペンアルカロイドaconitineの全合成研究を行っていく予定である。
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Research Products
(8 results)