2010 Fiscal Year Annual Research Report
TEMPO触媒酸化を用いたセロウロン酸の調製法と重合度に関する研究
Project/Area Number |
09J06499
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
磯貝 拓也 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | セルロース / TEMPO触媒酸化 / グリーンケミストリー / 有機電解酸化 / セルロースナノファイバー |
Research Abstract |
天然セルロース試料に対してTEMPO触媒酸化を適用した場合、酸化は結晶表面にのみ進行するが、再生セルロースにTEMPO触媒酸化を適用した場合、酸化反応により結品構造が崩壊し、水溶性のセロウロン酸を得る。従来のTEMPO触媒酸化は環境調和性の高い優れた反応法であったが、再生セルロースのようなセルロース加工成型物の形状を維持したまま酸化反応を進行させることが出来なかった。これは塩素系酸化剤等を用いることによる試料の酸化分解と、反応中の弱アルカリ性条件下における生成物の低分子化に起因する。そこで、近年グリーンケミストリーの分野で注目を集めている有機電解酸化法を導入し、共酸化剤等を用いずに電気化学エネルギーを用いてTEMPO触媒酸化反応を行い、先述の課題点の克服を試みた。レーヨンおよびベンリーゼを上記システムで電解酸化処理したところ、繊維の表面形状に至るまで、構造が維持されたまま、カルボキシル基およびアルデヒド基が導入されていることが分かった。このことから、有機電解酸化を用いることで共酸化剤等試薬フリーの条件のもと、再生セルロースの構造を維持しながら、カルボキシル基を導入することに成功した。こうして今まで得られていなかった、セルロース加工成型物の表面酸化物の調製法を確立した。また、SBKPに対し同様に有機電解酸化を行うことでセルロースナノファイバーの調製に成功し、電解液のpHを調製することで得られるナノファイバーの分子量および形態を制御することに成功した。こうして塩素系試薬を一切用いずにセルロースナノファイバーを調製することが可能となった。
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Research Products
(3 results)