2010 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ側線神経系をモデルとした神経回路形成機構の解析
Project/Area Number |
09J06524
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 朗 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 側線 / 神経回路 / ライブイメージング / Single-cell発現解析 |
Research Abstract |
本研究では、側線神経細胞の集団内に存在する遺伝子発現量のばらつきを解析するため、単一細胞cDNA増幅技術の魚類神経細胞への応用を試みた。その結果、マウスの胚性幹細胞などにおいて報告されていた技術を基に、より発生の進んだゼブラフィッシュ2日胚から細胞を単離・回収し、cDNAを増幅することが可能になった。この技術は以下に示すように、他の様々な解析手法と組み合わせることにより、「発生における細胞個性の獲得過程」や「ゆらぐ細胞集団から機能的に安定な組織が形成される機構」の解明につながることが期待される。 本研究においては、この技術をトランスジェニック系統に対して用いることで、一見均一な(同じようにマーカー遺伝子を発現する)細胞集団に属する個々の細胞の遺伝子発現を解析した。その結果、均一に見える側線神経の細胞集団内には、ハウスキーピング遺伝子やマーカー遺伝子であっても発現量にぱらつきがあること、さらに発現量の分布には遺伝子ごとに違いがあることを明らかにした。 また、この技術とDNAインジェクションによる単一細胞イメージングを組み合わせることで、個々の細胞の振る舞いや特徴を観察した後、その細胞の遺伝子発現プロファイルを解析した。この方法は、細胞の表現型と遺伝子発現の関係の包括的な理解に大きく寄与することが期待される。現在、軸索伸長時の振る舞い(軸索伸長の速度・成長円錐の形態)と遺伝子発現の関係の解析を行っている。 さらに今後、ゼブラフィッシュ胚における単一細胞cDNA増幅技術を、次世代シークエンサーを用いた発現解析と組み合わせる予定である。これにより、発生過程における遺伝子発現のばらつきの網羅的な解析が可能になると考えられる。
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Research Products
(2 results)