2009 Fiscal Year Annual Research Report
代謝物及び蛋白質の網羅的定量に基づく膵臓癌薬剤耐性機構の解明と新規薬物療法の開発
Project/Area Number |
09J06553
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大峰 健 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 薬剤耐性 / 代謝物 / プロテオミクス / 定量 / 膵臓癌 / Gemcitabine / メタボロミクス / ファーマコプロテオミクス |
Research Abstract |
膵臓癌治療薬Gemcitabine(GEM)及び内因性核酸化合物の同時定量法と複数タンパク質同時定量法を用いて、GEM耐性因子を迅速に同定し、併用薬の提案に繋げることが本研究の目的である。その第1段階として、核酸化合物の同時定量法を確立する必要があった。核酸にはヌクレオシドとリン酸基を持つヌクレオチドが存在するが、LC-MS測定で一般的なC18カラムでは、ヌクレオチドを分離できない。従って、カラム・測定条件を検討した結果、C18カラムにイオンペア試薬を加えた条件が全核酸化合物を分離・検出するために最適であることが分かった。また、サンプル処理過程で一部のヌクレオチドの分解が確認されたが、pH、温度等の条件の改善で分解を1%未満に抑えられた。確立した定量法で、GEM感受性が24000倍異なる2つの膵臓癌細胞株PK9及びRPK9における細胞内外の核酸化合物を定量した。取り込み24時間までの各核酸化合物量を2細胞間で比較すると、耐性細胞RPK9では、細胞内のGEM活性化体量がPK9細胞よりも100倍以上低下していることが明らかになった。また、活性化体の減少には代謝過程2つ、輸送過程1つの3つのプロセスが大きく影響している可能性が高いと分かった。耐性獲得に重要なプロセスを更に絞り込むため、各プロセスに関わる酵素・トランスポーターの阻害剤を添加し、GEM感受性や核酸化合物量の変化を調べた。結果、1つの代謝過程が特に重要であり、他の2つのプロセスは耐性獲得に殆ど影響を与えていないことが示唆された。今後は、特定された代謝過程に関連するタンパク質について2細胞間の発現プロファイルを比較し、耐性因子を同定する。耐性因子が同定されれば、本法は、複雑な代謝・排出経路の中から迅速に耐性因子をスクリーニングする有用な手法として、他の核酸アナログ系抗癌剤の耐性機構解明にも応用できる有用な手法になり得る。
|
Research Products
(3 results)