2010 Fiscal Year Annual Research Report
代謝物及び蛋白質の網羅的定量に基づく膵臓癌薬剤耐性機構の解明と新規薬物療法の開発
Project/Area Number |
09J06553
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大峰 健 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 薬剤耐性 / 代謝物 / プロテオミクス / 定量 / 膵臓癌 / Gemcitabine / メタボロミクス / ファーマコプロテオミクス |
Research Abstract |
膵臓癌治療薬Gemcitabine(GEM)及び内因性核酸化合物の同時定量法と複数タンパク質同時定量法を用いて、GEM耐性因子を迅速に同定し、併用薬の提案に繋げる事が本研究の目的である。 本年度は、初年度の結果からGEM耐性に関与している可能性が高い代謝過程に関連する酵素や核酸トランスポーター等のタンパク質発現量をGEM感受性が10,000倍以上異なる膵臓癌細胞株PK9、RPK9で比較し、耐性因子を特定する事を目指した。複数タンパク質同時定量法を確立後、HPLC接続型質量分析計(LC-MS/MS)で定量した結果、目的酵素の発現量が極めて低く、ノイズの影響で正確な定量値が得られていない可能性が高いと考えられた。従って、より精度、分解能の高いMSの使用、LCカラム、グラジエント条件等を検討し、ノイズ影響を軽減した。その結果、GEM活性化に関わる一つの酵素タンパク質発現量が、GEM耐性細胞で感受性細胞よりも約50倍以上低下している事が明らかになった。他のタンパク質は、2細胞間で2倍以上の発現変動は認められなかった。さらに、発現が著しく変動した酵素を含む複数の酵素活性を2細胞間で比較し、耐性細胞におけるGEM感受性の低下は、その酵素発現量及び活性の低下が主な原因である事が示唆された。同時に、本定量法によるタンパク質発現量解析は、主要な耐性因子の予測に有効であり、膵臓癌患者組織に応用すれば、臨床での耐性原因の特定に貢献する事も期待された。 従って、現在は、膵臓癌患者10人の癌組織における目的の酵素を含めたタンパク質発現量解析を進めている。組織レベルで耐性因子が解明されれば、その成果に基づき、耐性克服に繋がる治療薬の提案に繋がる研究に着手する。
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Research Products
(2 results)