2013 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害児・者のストレス特性及びストレス認知特性の解明
Project/Area Number |
09J06585
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊勢 由佳利 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / ストレス / 大学生 / 特別支援教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は、発達障害児・者のストレス特性及びストレス認知特性を解明することである。ストレス特性の解明とは、発達障害児・者が経験しているストレス内容について主観的指標(質問紙)を用いて明らかにすることを、また、ストレス認知特性の解明とは、発達障害児・者がストレスをどのように認知し、ストレッサーに対してどのように反応をしているかを主観的指標と客観的指標の両方を用いて明らかにすることを意味する。これらの目的を達成するため、本研究では、第一に質問紙を用いてストレス特性を明らかにするフィールドでの調査研究、第二に主観的指標と客観的指標を同時に用いてストレス認知特性を明らかにする準実験室研究、という2つの研究を行った。 本研究の最終年度における主な成果は、第一の研究の進展及び論文発表(自閉症スペクトラム障害およびその傾向をもつ成人における不安を中心とした心身状態とストレスに関する研究(伊勢・十一(印刷中))である。伊勢・十一(印刷中)は、成人自閉症スペクトラム障害者(ASD)の日常生活における不安を含む心身状態を調べた研究1と、一般大学生を対象に、彼らのASD特性と不安を含むストレス反応及びストレス認知の関連を調べた研究2で構成されている。研究1からは、ASD者は定型発達者に比べて不安を含むネガティブな感情が高く、ポジティブな感情が低いことが示された。研究2では、研究1で明らかになった心身状態をストレス反応と捉え、その認知過程及び障害特性との関連を調べた。その結果、ASD傾向の高い学生は、ASD傾向の低い学生に比べて不安を含むストレス反応が高いこと、しかしストレッサーや対処方法には差がないことが示された。また、大学生のストレス反応の高さと関連しているASD特性は注意の転換の困難さであることが示唆された。本研究より、成人ASD者の支援を行う際には、不安感の高さを念頭におくこと、また、対人関係といった社会性の問題への支援に加えて、一つのことに集中しすぎるといった認知面の問題への支援の必要性が示され、臨床にも重要な課題を示した。
|
Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
|
Research Products
(2 results)