2010 Fiscal Year Annual Research Report
シエラレオネ、リベリアの紛争発生、継続、越境の要因分析-「青年層」からの考察-
Project/Area Number |
09J06601
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡野 英之 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | シエラレオネ / リベリア / 武力紛争 / リベリア和解民主連合(LURD) / カマジョー / 失敗国家 / 青年層 / クライアンテリズム |
Research Abstract |
本研究の課題は「武力紛争がどのように発生するのか、そしてどのように継続するのか」を明らかにすることであり、シエラレオネとリベリアを事例に考察を行っている。また、本研究が注目するのは、以下の二点としている。紛争の周辺国に国境を越えて与える影響と、国家とその中に生きる人びとの関係である。本年度の研究活動として、2010年4月~11月までをこれまでの研究成果の発表と文献研究に費やした。 また、12月~2011年2月には現地調査を、そして、3月には現地調査で得たデータの整理を行った。この現地調査では、リベリアの武装勢力リベリア和解民主連合(LURD)や、シエラレオネの武装勢力カマジョーの戦闘員、司令官、政治部リーダー経験者にインタビューを行った。その成果として、戦闘員は知り合い関係を通じて、より条件の良い組織へ渡り歩いていることや、政治リーダーは、武装蜂起の際、必要な資金、人員、設備を集める際には国境を越えてつながっている人間関係から隣国からの支援を仰いでいることが明らかになった。このような人間関係を通じた人々のサバイバル戦略を明らかにすることは、紛争の展開を説明するのに有効といえる。例えば、リベリア内戦は、発生当初、「民族紛争」の様相を呈していたが、紛争が経過するにつれ「民族対立」の色は薄れていった。その一員としては、兵士が様々な勢力を行き来している中で、民族が重要ではなくなっていったということが挙げられる。また、リベリア紛争では、紛争の経過とともに武装勢力の数が増えている。武装勢力を組織するには、資金、人員、物資が必要となるが、多くの場合、それらは隣国にまたがって分布する民族の隣国での政治コネクションにより調達されていた。これらの「発見」は、既存の社会科学モデルで提示された紛争発生のメカニズムが具体的にどのように機能していたのかを示す事例といえる。
|
Research Products
(3 results)