2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J06616
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松田 佳希 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子アニーリング / 最適化問題 / スピングラス模型 / 量子相転移 |
Research Abstract |
今年度は、縮退のある系の量子アニーリングを数値的な検証を中心に研究し論文として発表・及び学会において口頭発表を行った。 縮退のある系というのは、組み合わせ最適化問題において解が複数あるという意味である。本研究により量子アニーリングにおいてこのような問題を扱う上では問題が生じる事が明らかとなり、「全て」の最適解の探索は本質的に難しいことが示された。このとき特定の最適解のみが他と比較して非常に高い確率で求まり、最適解は等確率で現れるとは言い難い。特に論文においては、その偏りの分布と系のサイズや縮退数依存性、そして縮退の有無による量子アニーリングの性能評価について詳細に調べられている。これは従来までの古典的なシミュレーテッドアニーリングでは現れなかった問題であり、今後量子アニーリングを用いて計算困難性のある最適化問題を取り扱う上で目的によっては注意を払う必要があることを意味する。 また、量子アニーリングによって最適化問題を解く上で、量子相転移現象とアニーリングの困難性の関係が示唆されている。量子性を減少させ、解きたい最適化問題の基底状態に到達する過程で相転移現象が起ると、量子アニーリングが失敗する可能性が高くなる。今年度は最適化問題の一例としてスピングラス模型を取り上げ、量子性を横磁場により取り入れた場合の量子相転移現象についても研究を進めた。今後量子アニーリングのメカニズムである量子ダイナミクスの立場から、量子スピングラス模型について詳細に研究を進めていきたいと考えている。
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Research Products
(9 results)