2009 Fiscal Year Annual Research Report
記憶検索における前頭連合野からトップダウンシグナルに関する神経生理学的研究
Project/Area Number |
09J06622
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
アンドレアウ J Kyoto University, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 記憶検索 / 長期記憶 / 対連合課題 / 前頭連合野 / 単一ニューロン活動 / サル |
Research Abstract |
記憶情報の検索において、前頭連合野から後部の脳領域に対して送られるトップダウン信号が重要な役割を担っていることが、多くの先行研究により示唆されている。本研究の目的は、記憶検索プロセスにおける前頭連合野ニューロンの活動を解析し、その役割を明らかにすることである。この目的のために、2頭のサルに長期記憶を必要とする対連合課題を学習させ、前頭連合野外側部から単一ニューロン活動を記録した。この課題では、サルがレバーを押すと、視覚刺激ペアのどちらか一方がサンプル刺激としてCRT画面上に500ミリ秒間呈示され、5秒間の遅延を置いてから、ペアのもう一方(ターゲット)か、または妨害刺激のどちらかが呈示される。ターゲットが呈示された場合、サルはレバーを離し、妨害刺激が呈示された場合は、レバーを押し続けなければならない。本年度は、両方のサルから約100個のニューロン活動を記録し、サンプル呈示期と遅延期間における活動傾向を解析した。サンプル呈示期には、多くのニューロンが視覚刺激に対して反応し、その一部は特定の視覚刺激に対して選択的に反応する傾向があった。さらに、刺激選択性を示したニューロンの一部は、特定の刺激ペアに対して特に強く反応する傾向が観察された。このような活動は、先行研究により下部側頭葉において発見された対符号化ニューロン(Sakai & Miyashita,1991)の活動と類似したものである。また、遅延期間においては、多くのニューロンが漸次的に発火頻度を増大させる傾向が観察された。より詳細な解析が必要ではあるが、このような活動傾向は、前頭連合野ニューロンが記憶情報の検索プロセスに積極的に関与していることを示唆している。これら結果から、前頭連合野ニューロンが視覚刺激ペアの情報をコード化し、後部の脳領域ヘトップダウン信号を送ることにより、長期記憶の検索を行っている可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)