2011 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性脂質リゾホスファチジン酸の新規生体内機能の探索とその意義の解明
Project/Area Number |
09J06628
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
可野 邦行 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 生理活性脂質 / リゾホスファチジン酸 / 血圧 / 迷走神経 |
Research Abstract |
まずLPA_3を介した迷走神経興奮作用についての研究では、迷走神経の主な機能の1つである反射反応に着目することで進展があった。マウスにおける自由行動下での血圧、心拍数測定系を用いて評価した結果、LPA_3 agonistを外来性に投与することで圧反射反応が強く誘導されることを見出した。また、LPA_3 antagonist及びLPA_3 KOマウスを用いることで、内在性のLPA_3 signalが圧反射能を亢進させている可能性が示唆された。LPA_3 KOマウスは自由行動下で血圧測定を行うと、コントロールと比較して1割程高い血圧を示すことから、本研究で着目したLPA_3の迷走神経興奮作用が個体の血圧維持に寄与すると考えられる。これまでにLPAは血液中で常に産生され、さらに様々な状況で産生変動が知られていたが、その存在意義については全くの不明であった。本実験結果はそういった循環血液中のLPAが個体の血圧に影響し得る可能性を示唆している。 次にLPAの昇圧作用についての研究においては、in vivoにおいて各種阻害剤を用いた評価からRho-ROCKシグナル経路がLPAの昇圧作用に必須であることを見出した。さらにLPA受容体KOマウスを用いることで、LPA_4が昇圧作用の一部を担っている可能性が示唆された。またin vitroのアッセイでLPA_6がRho-ROCK経路を強く活性化させることから、in vivoにおいてもLPA_6がLPA_4と協調的に機能していることが推察された。約30年にわたって不明であったLPAの昇圧作用メカニズムの一端が明らかになった意義は大きい。またRho-ROCK経路は高血圧患者や血管攣縮疾患で活性化されており、こういった疾患にLPAが関与する可能性が新たに示唆された。
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Research Products
(6 results)