2010 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロエコノミクスアプローチによる過去の想起と分散する時間割引率の研究
Project/Area Number |
09J06631
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
米田 紘康 大阪大学, 社会経済研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 神経経済学 / 実験経済学 / 行動経済学 / fMRI / 時間割引 / 不確実性下の意思決定 / 異時点間選択 |
Research Abstract |
本年度は、行動実験とfMRI実験を報告した。行動実験(和田2010)では、短期小額報酬の割引率を推定した。伝統的経済学では、一定割合で価値が減衰する指数型割引が採用されていたが、行動実験などから双曲割引の当てはまりが良いことが指摘されている。しかしながら、実際に謝金を使って実験をすると小額報酬を短期遅延で支払うことになる。このような状況では、割引率以外の要素を考慮する必要がある。そこで本論文では、割引率だけでなく遅延に伴うコストを推定した。結果は以下のとおりである。第1に、謝金を用いた時のコストは謝金を用いないアンケート実験と比べて有意差が大きかった。これにより、アンケート実験ではコスト意識があまりないことが示唆される。第2に、今回のようなコストを考慮したモデルでは従来の割引率と比べてあまり割り引かない。これは数千円程度の謝金を数週間程度の遅延では、ほとんど割り引かず、コスト(=「面倒さ」と解釈できるかもしれない)で調節しているかもしれない。 fMRI実験(Yoneda and Oda, 2010)では、スキャナー内で異時点間選択課題と不確実性を加えた課題をおこなった。この実験では、異時点間選択をおこなうときに、被験者は(現在の自分から将来の自分への)自己投影(Self-projection)と理解される脳領域(内側前頭-側頭-頭頂ネットワーク)を賦活させることがわかった。被験者の回答に個人差があるので、直近報酬を好む者と遅延報酬を好む者に分類して分析した。すると、遅延報酬を好む被験者の方がより活動(内側前頭部)が強いことがわかった。
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Research Products
(2 results)