2009 Fiscal Year Annual Research Report
標準理論を超えた新しい素粒子物理現象の探索(LHC/ATLAS実験と小型実験)
Project/Area Number |
09J06638
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋元 銀河 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 素粒子物理実験 / ポジトロニウム / 超微細構造 |
Research Abstract |
素粒子標準模型は極めて広いスケールの物理現象を説明する強力な枠組であるが、ダークマターや階層性問題など説明のできない問題が存在している。本研究は標準理論を超えた素粒子物理現象を、LHC/ATLAS実験によるエネルギーフロンティアと、非加速器実験による精密測定の両面から探索することを目的としている。 【非加速器実験】 ポジトロニウムはQCDフリーな系であり、その超微細構造(Ps-HFS)は束縛系QEDの精密検証に適している。現在その実験値はQEDによる理論計算から10ppm(3.9σ)ずれており、超対称性粒子や未知の疑スカラー粒子などのnew physicsが存在していることによる影響が期待される。本研究は過去の実験で考慮されてこなかった系統誤差に焦点を当てるものであり、Ps-HFSの精密測定に向けた系統誤差の洗い出しを行った。 Ps-HFSの精密測定には、大強度で高い精度の遷移RFが要求される。RF光源であるGaNアンプを改修し、出力を90Wから500Wへと増加させるとともに、導波管を用いた伝送系を作成することで伝送ロスを10%まで押さえ込み、測定に必要な強度のRFを達成した。また高い精度で安定したRFを得るため、出力および周波数のブィードバック回路を設計・作成し、実際の測定で十分に機能することを確認した。 これらの改善を行った後、本年度の6月から9月の間、Ps-HFSのプロトタイプ測定を行い、40ppmの精度を達成した。本年度の結果により、今後2年間の測定でPs-HFSのずれの検証に十分な精度が得られると期待される。
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Research Products
(4 results)