2009 Fiscal Year Annual Research Report
DNAを用いたカーボンナノチューブの分離による構造制御およびその物性の解明
Project/Area Number |
09J06679
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浅田 有紀 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | カーボンナノチューブ / DNA / トランジスタ / 薄膜 / 長さ依存性 / ナノチューブ分離 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)は、擬一次元構造による特異な物性と、優れた化学的および機械的特性により興味深い物質であるが、CNTは合成時において混合物でしか得られない。さらに、CNTは強固なバンドル構造を有しているために、CNT一本の固有の構造を取り出し評価することが困難である。このような課題に対し、DNAを用いてCNTを孤立分散させることにより、構造由来によるCNTの物性解明を目指し、CNTの長さ分離とその評価、電子デバイスへの応用へと、一貫した研究を行った。 長さ分離は、単層CNTと同様に二層CNTに対してもされた。この二層CNTの長さ分離は初の試みであり、層間相互作用を詳しく調べる上で非常に興味深い。単層CNTと同一のカイラリティをもつ二層CNTの内層について比較した結果、ともにCNTの長さが短くなるにつれ蛍光強度が減少したが、その傾向はいずれも同様であり、蛍光ピーク位置もシフトなどの変化も確認されなかった。ゆえに蛍光分光測定においてCNTの長さによる層間相互作用の影響はほとんどないことが示された。 DNA-CNTの利点として、孤立分散ができる点、過剰なDNAを除いても溶液中で安定に存在できる点、CNTの構造による分離ができる点などが挙げられる。これらの特徴に着目し、孤立CNTから成る均一な薄膜を作製し、従来の研究のものと比較しても高性能な薄膜トランジスタ(TFT)に成功した。TFTは、低コストかっスケールアップが容易である。しかしながらこれまでのCNT-TFTは、CNTのバンドル化や長さのばらつきが、特性の低下や不均一性を引き起こす原因となっていたDNA-CNTは、非常に簡便な方法でこれらの問題を解決し、CNTの密度と長さの制御を可能にした。このことにより、CNT-TFTの特性において系統的な評価がされ、これまで不明確であったCNTの構造と物性あるいは特性の相間について実験的に明らかにした。
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Research Products
(9 results)