2010 Fiscal Year Annual Research Report
DNAを用いたカーボンナノチューブの分離による構造制御およびその物性の解明
Project/Area Number |
09J06679
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
浅田 有紀 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノチューブ応用研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 薄膜トランジスタ / DNA |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)は、その優れた伝導特性より、トランジスタなどの電子デバイスへの応用が注目を集めている。特に、溶液プロセスから作製されるCNTの薄膜トランジスタ(TFT)は、低コストかつスケールアップが容易であり、さらにプラスチック等のフレキシブルかつ透明な基板へ展開できる利点が挙げられる。しかしながら、CNTは様々な直径や長さの混合物として得られることからも定量的な特性の評価が困難であった。本研究では、多彩な直径をもつCNTを使い分けて長さ分離することにより、CNTを定量的に扱いかつ固有の構造に起因する物性を引き出し、CNT-TFTにおけるCNT長さ依存性を実験的に明らかにすることを目的とした。そのために、CNTと相互作用が強く優れた分散能を示すDNAを用いてCNTを水溶液中で孤立分散し、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて長さ分離を行い、均一な長さのCNTを得た。これを用いて均一なCNT薄膜を形成し薄膜トランジスタを作製して評価を行った。CNTは、4種類の直径(~1.0、1.4、1.7、2.2nm)を用いることにより、CNTの直径や密度についてデバイス特性に対する依存性を詳細に調べた。その結果、平均直径が細いCNTにおいて、トランジスタ特性を示す指標の一つであるOn/Off比が10^4以上のものが得られた。一連の実験を通して、CNTを定量的に扱うことができたことにより、CNT直径とトランジスタ特性(On/off比、On電流、移動度)に相関が認められ、直径が細いCNTを用いることでより高い特性のCNT-TFTが得られることが示唆された。
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