2009 Fiscal Year Annual Research Report
分極処理を施した異極像単結晶を用いた小型・高効率X線・オゾン・中性子発生源の開発
Project/Area Number |
09J06711
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
深尾 真司 Doshisha University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 焦電性結晶 / 温度変化 / 冷電子 / 光電効果 / 熱励起 / X線源 |
Research Abstract |
焦電性結晶を用いたX線発生法は、高電圧源や電子源等が不必要となり、装置を小型化できる利点があるため、例えば人体内部のがん細胞に直接X線を照射し、治療できると考えられる。しかし、現状では連続的にX線を放射できず、X線強度が実用化レベルより1/100程度と低い欠点があった。これらの欠点を克服するため、光電子の有効的な利用を試みた。高真空中で複数個の結晶を円周上に設置し、結晶の負の電気面(-z面)を中心方向に向け、中心に円錐ターゲットを設置した。各々の結晶の温度変化の位相をずらし、降温中の結晶によって発生するX線が装置内壁やターゲット等に照射させることで光電子を発生させ、昇温中の結晶の電気面に電子を蓄積させた。これにより、X線強度を結晶の個数以上に増加させ、かつ再現性良く連続的にX線を発生させられることを見出した。また、装置の幾何学的配置等を最適化すれば、X線強度を更に強められ、実用化レベルに到達できる道筋をつけた。ターゲットの高さを最適化することで、点X線源への応用も可能になることを見出した。 1個の結晶のみで安定したX線強度を得るため、高真空中で接地した導電性ガラス上にカーボンナノチューブ(CNT)を塗布したものを結晶の近傍に設置し、結晶が形成する電界を用いて電界放射によりCNTから冷電子の供給を試みた。冷電子を結晶の電気面に蓄積することで、X線強度を強められると同時に、繰り返しX線強度を安定化させられることを見出した。結晶の自己電界によって一部が分極反転し、劣化した結晶を用いても最適な面積にCNTを塗布すれば、高強度のX線を安定して発生させられることを見出し、X線源の超寿命化への道筋をつけた。
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Research Products
(21 results)