2010 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化膜を有する磁性金属ナノ粒子の設計とその複合機能化
Project/Area Number |
09J06717
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 良一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 磁性ナノ粒子 / 単一粒子磁石 / Co-Pd合金 / 磁性スポンジ / 巨大磁気モーメント / Fe-Pd合金 / ダイマーナノ粒子 / 磁気抵抗効果 |
Research Abstract |
今年度は磁性ナノ粒子の機能化をする際に必要な磁性ナノ粒子自身の詳細な磁気物性を検討した論文を2報(査読付)発表した。これらの論文は磁性不純物原子がどの程度の常磁性原子Pdを磁化できるかを元素依存性(Co、Fe)、サイズ依存性(2nm、3nm)、および、濃度依存性を系統的に調べたものである。この結果より、Coを用いてサイズを調整すればたった1個のCo原子がナノ粒子内の全てのPd原子を強磁性的に磁化することが可能であることがわかった。これは世界最小の粒子磁石の発見であり、磁気デバイス(HDD等)の世界最小のパーツになりえる可能性を持っている。さらに、この詳細な磁気物性が明らかとなった磁性ナノ粒子を用いることで3つの機能化を行った。1つ目は磁気双極子相互作用を活用した2量体磁性ナノ粒子の作成である。磁性ナノ粒子は強い磁気モーメントを持っていることが明らかとなったので粒子同士が引き合う力を利用し、作成しにくい2量体磁性ナノ粒子の作成法を確立した。2つ目は磁気双極子相互作用を活用した磁場応答するスポンジ状の磁性ナノネットワークの作成である。外部磁場を印加することで磁気双極子相互作用を誘起させ、誘起した磁気双極子相互作用の異方的引力相互作用によって磁性ナノ粒子同士が引き合い潰れた構造を作ることが明らかとなった。これにより外部磁場をスイッチとするスポンジのような可変構造体の作成に成功した。3つ目は磁性ナノ粒子が持つ強い磁気モーメントを活用した磁気抵抗効果を持つ伝導性磁性ナノネットワークの作成である。強い磁気双極子相互作用を持つ磁性ナノ粒子に電気を流すことにより、磁場ありとなしの間に電気抵抗の差を持つ構造体の作成に成功した。
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