2009 Fiscal Year Annual Research Report
在日朝鮮人の生活と闘争-八・一五解放から朝鮮戦争期を中心に
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09J06741
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鄭 祐宗 Osaka University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 在日朝鮮人 / 占領政策 / 植民地主義 / 朝鮮戦争 / 再軍備 / 団体等規正令 / 外国人登録法 / 出入国管理令 |
Research Abstract |
本年度、報告者は在日朝鮮人史研究における二つの分野で研究に取り組んできた。 第一に、在日朝鮮人教育闘争史の研究について。在日朝鮮人教育闘争を朝鮮人生活権問題の一環に位置付け、下部構造(経済的矛盾)への考察を通じて教育闘争の内在的論理を見出すという理論的構成を進めた。その際、教育自主権を獲得し擁護する課題と、教育費解決/日本政府負担をめぐる課題とを「二重の課題」として位置付け、政治闘争と経済闘争の結合問題への考察を進めた。報告者はこの政治闘争と経済闘争の結合に在日朝鮮人教育闘争における権利拡充の重要なポイントを見出している。本年度は考察の対象を1947年から1948年を中心に設定し、1948年5月5日の覚書調印にいたる過程への考察を深めた。 第二に、外国人登録法制の研究について。従来重視されてきた1947年の外国人登録令施行や1952年の外国人登録法施行のみならず、(1)1949年の外国人登録令改定、(2)1957年から1958年にかけての司法解釈の「確定」プロセスを重視し、外国人登録法制の「正当化」プロセスへの考察を進めてきた。(1)供述拒否権(黙秘権)の封じ込め、(2)公訴時効の封じ込めの問題を重視し、これらの歴史的な展開を登録制と身分証制という二つの手段の編成や変容に焦点をあてて考察を進めた。 以上の二つのアプローチは、実証的にも方法論的にも論争的なチャレンジである。第二次大戦後の国際的・国内的な在日朝鮮人管理体制と、これら被抑圧条件下における在日朝鮮人の解放運動の相関関係について、今後さらに立体的な考察を進めていく展望をきりひらくものとなった。
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Research Products
(5 results)