2009 Fiscal Year Annual Research Report
極域地震波記録を用いたJフェーズの検出および地球内核のS波速度異方性の検討
Project/Area Number |
09J06753
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
豊国 源知 National Institute of Polar Research, 研究教育系, 特別研究員(PD)
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Keywords | 地震波 / 数値計算 / 差分法 / 非弾性減衰 / 地球中心 / 特異点 / Jフェーズ / 理論波形 |
Research Abstract |
課題初年度の本年は、Jフェーズの同定に用いる数値計算手法を完成させ、地震波形データの解析方法を習得し、開発した数値計算手法による理論波形との比較を行った。 Jフェーズは地球内核をS波として伝播する地震波のフェーズであるので、その解析のためには地球中心を通過する地震波を正しくモデリングする数値計算手法が不可欠である。地球中心は、地震波の支配方程式の特異点であるため、これを回避して地球中心で波動場(粒子速度や応力)を計算するスキームが必要となる。本研究員らが開発を行ってきた数値計算手法「球座標系2.5次元差分法」では、これまで爆破震源のように震源と地球中心を結ぶ軸(震源軸)の周りに軸対称に分布する震源から励起され、地球中心を通過する地震波を正しくモデリングすることに成功していた。本年度は、これを断層型震源を含む、任意のモーメントテンソル震源に拡張した。 また本年度は解析に必要なソフトのインストール・習得を行い、観測波形と球座標系2.5次元差分法による理論波形との比較を行った。インストール・習得を行ったソフトは、グローバルな地震波形データの解析で基本的に用いられているSAC、rdseed、および日本国内の地震波記録解析に多く用いられているWINである。図1は1994年ボリビア深発地震(M_W=8.2)による4観測点における速度波形の上下動成分(実線)と、周期60秒の震源時間関数、球対称構造モデルPREMを用いた球座標系2.5次元差分法による理論波形(点線)とを比較した結果である。理論波形では地球内部の横方向不均質を考慮していないにもかかわらず両者の波形はよく一致しており、本手法がこの周波数帯域で充分観測地震波形の解析に適用可能であることがわかった。
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Research Products
(5 results)