2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J06773
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池内 桃子 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 形態多様性 / 複葉 / 形態形成 / 器官原基 / 細胞分裂 / KNOX / in situ hybridization / レーザーアブレーション |
Research Abstract |
自然界にみられる生物の形態多様性がどのような発生基盤によって生み出されているのか、という問いは生物学において重要な課題の一つである。本研究は、特に植物の葉という器官に着目し、その形態における発生進化学的な理解を進めることを目的としている。近年の分子発生学的な知見の急速な蓄積によって、葉の形態の複雑さを決める発生現象は、茎頂分裂組織における葉の原基形成という発生現象と非常に共通性が高いことが示されつつある。しかし、後者は基本的にすべての種において画一的な現象であるのに対し、前者には著しい多様性が見られ、多様性の部分についてはほとんど理解が進んでいないのが現状である。本研究では、葉の中で小葉原基を作るパターンが異なる複数の植物種を研究材料として用いて、in situ hybridization法を用いた遺伝子発現解析、レーザーアブレーション法を用いた微小操作などを用いることで、原基形成のパターンを決める要因について同定することを目指している。今年度は、細胞分裂活性の指標となるHistone H4の発現解析や、組織の未分化性の指標となるclass1 KNOX遺伝子群、LFY、UFO遺伝子などの単離・発現解析を行い、その結果、求頂的な小葉形成を行うハナビシソウという植物で、葉原基の先端基部軸に沿って組織がほぼ一様な未分化性を有する可能性が示唆された。また、レーザーアブレーション法を用いて葉の発生を物理的に攪乱する実験を行った。葉原基先端を損傷した場合、速やかに無傷組織から頂小葉の再形成が確認された。一方、側小葉予定領域を損傷した場合には、やや遅れて・予定領域よりは葉の先端に近い部分に新たな側小葉が形成された。このことから、葉原基の先端付近の組織は原基を形成する能力を保持しているものの、頂小葉存在下では側方抑制効果によってそのごく近傍には形成されないような仕組みが存在するのではないか、と考えられる。
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