2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J06773
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池内 桃子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 発生 / 組織分化 / 形態形成 / 器官成長 / 細胞伸長 / 多様性 |
Research Abstract |
自然界にみられる生物の形態多様性は、どのような発生基盤によって生み出されているだろうか。この問いは生物学において重要な課題の一つであり、本研究は、特に植物の葉という器官に着目し、その発生進化学的な理解を進めることを目指している。葉の複雑な形態が形成される過程では、葉原基の辺縁領域に小葉原基となる細胞集団が形成される。近年の研究で、小葉原基形成に必須の転写因子群や植物ホルモンが明らかになってきている一方、小葉形成パターンを決める機構は、ほとんど理解されていない。そこで本研究では、小葉形成パターン決定機構の解明を目的とし、同一の科に属し比較的近縁でありながらパターンの異なる二種(ハナビシソウ、クサノオウ)を材料に、多角的なアプローチで発生学的解析を進めている。まず、葉原基の成長率勾配がパターンの決定要因ではないかという仮説が以前提案されていたものの、実験的に検討されていなかったため、この仮説の検討を試みた。葉原基の成長を経時的に観察する実験系を立ち上げ、成長率の測定を行った。その結果、ハナビシソウでは仮説と合う結果が得られたものの、クサノオウでは合わない結果となり、他の要因も関与している可能性が示唆された。そこで、他の決定要因として考えられる組織の分化状態を調べるために、まずSEMを用いた表皮構造の詳細な解析を行った。組織分化のひとつの指標である表皮細胞のサイズを測定したところ、細胞状態が分裂期から伸長期へと移行する方向性・タイミングは小葉形成パターンの決定要因ではないことが分かった。次に、クサノオウについて表皮細胞の分化(トライコーム形成)を観察したところ、こちらは小葉パターンと合致した傾向が見られた。今後は、成長の詳細な定量解析、および遺伝子発現解析などを用いた組織の分化状態の評価をさらに進める予定である。
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