2009 Fiscal Year Annual Research Report
食べ物による腸感染症のコントロール-牛乳タンパク質による予防と症状の軽減化-
Project/Area Number |
09J06778
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
稲垣 瑞穂 Gifu University, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 腸感染症 / 牛乳乳清タンパク質 / ロタウイルス / 予防 / 症状軽減化 / ラクトフォリン / 糖鎖 |
Research Abstract |
ロタウイルス胃腸炎は、乳幼児のほとんどが経験する疾病であり、世界中で年間60万人近い死者が出ている。先行研究から、ロタウイルス下痢症に対し、予防には18kDaラクトフォリン(LP18K)、症状軽減化には二つの乳清主要タンパク質(α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン)が有効であることを示してきた。本年度はLP18が示すヒトロタウイルス感染阻害活性の作用機構解明を中心に検討した。 等電点の異なる少なくとも4つ以上のスポットで構成される18kDaラクトフォリン(LP18)について、スポットごとのロタウイルス感染阻害活性を調べたところ、タンパク質スポットごとに異なる阻害活性を示したことから、修飾糖鎖構造が阻害活性に関与している可能性が考えられた。 LP18の翻訳後修飾としてN型糖鎖(77位)とO型糖鎖(86位)が既に報告されていることから、N型糖鎖構造について、MALDI-QIT-TOFMS(AXIMA Resonance)を用いたMS^2解析を行った。その結果、非還元末端にシアル酸を1つ持つ、2,3,4本鎖のN型糖鎖多型を有すること、乳脂肪球皮膜タンパク質に特徴的なLacdiNAc(GalNAc-GlcNAc)構造を持つことが明らかとなった(Inagaki et al., Biosci.Biothech.Biochem., 74(2), 447-450, 2010)。ユニークなモチーフが見つかったことから市販LacdiNAc(GaiNAcβ1-4GlcNAc)について中和活性試験を行ったところ、二糖構造のみで40%近い阻害活性が認められた。LPが示す阻害活性の分子基盤を明らかにするため、糖鎖構造とHRV感染阻害活性との関連について詳細な検討が必要である。
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Research Products
(6 results)