2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J06785
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
玉井 総一 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 中枢神経系 / 神経変性 / 分子生物学 |
Research Abstract |
神経細胞が長期間にわたって健全に維持されることは、中枢神経系の高次機能の発現に必要不可欠である。そのため神経細胞は、神経変性を誘引するような神経毒に対する防御システムを持つと考えられる。このシステムの分子基盤を理解することは、神経科学分野の重大なトピックであると共に、神経変性疾患の予防および治療戦略につながる重要な課題である。本研究では転写因子Nfil3(E4BP4)の生理機能解析を突破口として、神経変性を防御・抑止する分子機構を解析する。 昨年度に引き続き、培養神経細胞を用いてNfil3の神経変性抑止効果を精査した結果、高濃度グルタミン酸(神経細胞の過剰興奮を誘発する興奮毒)刺激など種々の神経傷害性刺激の投与によりNfil3の発現が顕著に誘導された。また神経細胞においてNfil3をノックダウンすると、傷害性刺激によって誘発する神経変性が顕著に促進することが明らかになった。以上の解析により、Nfil3の発現誘導が神経細胞の保護に大きく寄与するという極めて興味深い知見が得られた。さらに、Nfil3の神経変性抑止効果を個体レベルで検証するため、神経系特異的にNfil3を発現するトランスジェニックマウスの作製に取り組んだ。CaMKIIαプロモーターの下流にNfil3をつないだトランスジーンを作製し、このトランスジーンを持つ変異マウスの作出に成功した(理化学研究所との共同研究)。さらに、このマウスと神経変性疾患モデルマウスを交配させて二重変異マウスを作製した。この二重変異マウスを継続的に解析し、Nfil3の発現によって神経変性の発症が遅延・抑止されるか検証する。一方、神経変性疾患モデルマウスにおいて発症に伴うNfil3の発現誘導が見られるか検証するため、組織免疫染色に供することのできるNfil3抗体を新たに作製している。
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Research Products
(1 results)