2009 Fiscal Year Annual Research Report
文学における<崩壊した東ドイツ>-場所のイメージをめぐって
Project/Area Number |
09J06791
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮崎 麻子 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 国際研究者交流 / ドイツ / 記憶 / 東ドイツ / 文学 |
Research Abstract |
2009年7月より研究指導の委託により、ベルリン・フンボルト大学・第二哲学部・ドイツ文学研究科に研究滞在している。 2009年9月12日に、DAAD(ドイツ学術交流会)主催のセミナーに参加し、そこで自分の研究計画について口頭発表した。様々な専門分野の外国人研究者や留学生の前で、私の研究テーマ全体の概要を発表したため、これからの計画を練り直すのに役立った。また、「東ドイツの想起におけるシベリアのトポス」というテーマで、日本独文学会の学会誌『ドイツ文学』国際版(ドイツ語)に論文を発表した。これは、私の研究テーマで扱う三つの空間イメージのうちのひとつ、「シベリア」のイメージと取り組んだものであり、この部分が今年度では最も大きな進歩であった。 「シベリア」以外の二つの空間イメージは、「廃墟」と「水没」であるが、今年度はにのうち、「廃墟」のイメージに関する作業も進んだ。文献の収集をベルリンでを行った結果、分析材料や参考資料が揃い、「廃墟」イメージに関する考察の見通しがたった。分析と議論を発展させるための作業を続けて行っている。第三の「水没」イメージの部分に関しては、次年度に本格的に進めたい。 2009年秋にはベルリンの崩壊から20周年に関連する催し物がベルリンで多く行われ、出版物も多く出た。私の研究に直接関連するので、現地での報道に多く接することもでき、大きな収穫となった。特に、ドイツ歴史博物館の『冷戦と芸術』展、ベルリン・ギャラリーの『ベルリン89/09』展、ベルリン市博物館の『壁崩壊の場合』展の三つを訪れ、大量のの写真芸術の表現を見たことによって、考察を進めるためのヒントも得た。
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