2009 Fiscal Year Annual Research Report
Exocyst複合体の構造・機能解析による膜融合制御機構の解明
Project/Area Number |
09J06805
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 雅美 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | X線結晶構造解析 / 低分子量GTPase / イノシトールリン脂質 / 小胞輸送 / 開口放出 |
Research Abstract |
開口放出では,細胞内で合成された分子は各オルガネラから産み出される分泌小胞に載り,標的膜へと移動し,最終的に小胞のオルガネラ膜への融合により輸送される.小胞は標的膜へと融合する前段階として一時的に標的膜へと繋ぎ留められ,この段階で適切な場所への輸送であると判断された小胞は標的膜へと融合する.融合は不可逆な過程であるため,繋留の段階は分子が正しく輸送されるための最後の修正可能な過程であると考えられる.繋留過程では,exocyst複合体と呼ばれる分子量約750kDaのヘテロ8量体が小胞や標的膜上の低分子量GTPaseやイノシトールリン脂質による制御のもとで分泌小胞を標的膜に特異的に繋ぎ留める.本研究は、低分子量GTPaseとExocyst複合体による膜融合制御機構の解明を目指す.申請者は,exocyst複合体がどのように標的膜上の低分子量GTPaseやイノシトールリン脂質を認識するのかを明らかにする目的で,出芽酵母由来のexocyst複体の標的膜結合サブユニットSec3と低分子量GTPase Rho1とのX線結晶構造解析を行った.得られた構造からは,イノシトールリン脂質の結合様式を示唆するようなリン酸分子の結合も確認された.結晶構造に基づく変異体を用いたin vitroでの結合実験やin vivoでの局在変化の観察から,出芽酵母のexocyst複合体の標的膜結合サブユニットは低分子量GTPaseとイノシトールリン脂質の相補的な制御のもとで標的膜へと特異的に局在することを明らかにした. 以上の研究成果を,科学雑誌Nature Structural & Molecular Biologyに発表した.
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Research Products
(8 results)