2009 Fiscal Year Annual Research Report
シュタイナー教育の教育思想史的研究-シラー美的教育論の視点から
Project/Area Number |
09J06833
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井藤 元 Kyoto University, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シュタイナー / シラー / ゲーテ / ファウスト / 自己変容 / 自由 / 美的教育 / メールヒェン |
Research Abstract |
シュタイナーの思想は、アカデミズムにおいてしばしば敬遠され、現時点で理論研究の蓄積が乏しく、思想史的位置づけも不明瞭である。本研究はそうした現状に鑑み、シュタイナー思想をシラー美的教育論との関連において読み解き、シュタイナー思想の思想史的解明を試みるものである。2009年度は特に、霊的指導者へと転回する以前、すなわち思想研究者時代のシュタイナーに焦点を当て、シラー、ゲーテに関する彼の思想研究を分析し、彼らとの思想的連関を読み解くことを通じて、シュタイナーの思想史的定位を進めた。具体的には、主に以下の2つの課題に取り組み、研究を遂行した。(1)シュタイナー『メールヒェン』論分析に基づく研究。(2)シュタイナー『ファウスト』論分析を基づく研究。本年度は、上記二つの課題を主要テーマとし、論文5本、学会発表5回という成果を挙げることができた。そうした一連の研究発表を通じて、本研究内容は深化されることとなったが、とりわけ、ゲーテ研究者を中心として開催されている「ゲーテ自然科学の集い」での研究報告は極めて貴重な体験となり、独文学の研究者達から多くの示唆を得ることができた(「R.シュタイナーのゲーテ論-『メールヒェン』・『ファウスト』解釈にみられる人智学的人間観-」、於:立命館大学)。また、教育実践への配視の必要性から、日本教育学会ラウンドテーブル(「芸術教科と芸術体験のはざま」)において、芸術分野の研究者との共同発表を行い、実践的領域との交流を図った。2010年2月には、1週間、ドイツ(ベルリン)にて研究調査を行った。現地では、ベルリン自由大学、フンボルト大学、両大学で開催された研究会の場において、研究者達と情報交換を行った。また、ドイツ教育学研究の泰斗テノルト教授(フンボルト大学)より研究指導を受け、ドイツにおけるシュタイナー教育研究の現状について、数多くの有益な情報を得ることができた。
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Research Products
(9 results)