2009 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ脳におけるシナプス神経回路の再構築とその機能解析
Project/Area Number |
09J06867
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹村 伸也 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | Synatic Circuits / Visual Information Processing / Serial Section-TEM Reconstruction / High Pressure Freeze / Freeze Substitution / Automatic Segmentation / Medulla |
Research Abstract |
本研究では、ショウジョウバエの視覚中枢メダラ神経節を電顕連続切片から3次元再構築し、ニューロン間のシナプス結合をすべて記述して神経回路を完全同定し、情報処理機構の一端を解明することを目的としている。本年度上半期には、1)試料作製のための最適条件の検討を行ない、2)組織超薄連続切片シリーズを作成し、3)電顕観察により2次元画像データを獲得した。本研究では、電顕画像のクオリティと自動画像解析プログラムのアルゴリズムとをうまくフィットさせることが要となる。いくつかの固定法を試した結果、解析アルゴリズムに最もフィットする高圧急速凍結・凍結置換法を採用しサンプル試料とした。固定した試料をプラスチックに包埋後、メダラ全長約50ミクロンにわたる連続切片(40nmx1300枚)を薄切し、電顕観察により各切片の2次元画像を獲得した。下半期には、1)獲得した画像データの切断方向への位置合わせ、2)細胞線維のトレース(セグメンテーション)、3)セグメンテーションの3次元的結合(3Dリンケージ)、4)セグメンテーションとリンケージのエラー修正と再検証を行ない、メダラ1カラムを3次元再構築した。この領域からこれまでに、視細胞軸索終末R7/R8、ラミナ神経節(視覚第一次中枢)からの投射ニューロンL1-L5、ラミナとメダラをつなぐニューロンT1/C2/C3を同定した。さらに、投射型メダラニューロンとメダラ内在性ニューロンをそれぞれ3種類、アマクリンタイプのメダラニューロンを1種類同定した。ラミナニューロンL1/L2は、ハエの運動視覚に重要な役割をもつことが知られている。これまでにL1、L2ニューロンがメダラにおいて、それぞれMi1/Tm3/L5、Tm1/Tm2/L5とシナプス結合していることを突き止めた。本研究によりメダラ神経節における運動視覚経路の詳細が初めて明らかとなった。
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Research Products
(4 results)