2009 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアーゼシグナル応答分子によるウイルス感染細胞特異的な新規遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
09J06872
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
倉本 政則 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | プロテアーゼ / ウイルス / 生体適合性ポリマー / 遺伝子発現制御 / 遺伝子デリバリー / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
我々はHIV感染細胞内で特異的に活性化しているHIVプロテアーゼに着目し、これに応答して初めて遺伝子を発現させることのできるペプチドグラフト型ポリマー(CPCV)を開発した。これまでに聖マリアンナ医科大学との共同研究によりHIV感染細胞選択的に遺伝子を発現させることに成功した。さらに、本システムを難治療性疾患である拡張型心筋症を引き起こすコクサッキーウイルスのプロテアーゼにも適用できることも実証した。これまでの結果をドラッグデリバリー分野のトップジャーナルの一つであるJournal of Controlled Release誌に投稿した結果、2010年1月に表紙及びハイライトとして紹介され、世界的に高い評価を得た。この成果は、ウイルス性疾患に対する新たな遺伝子治療法を提供する非常に有用なポリマーを開発したことを実証したものである。 そこで、さらに臨床応用を見据えて、複合体の安定性や遺伝子の発現制御能の改善を目的としたCPCVの再設計、合成を行った。具体的には、ポリマー主鎖に生体適合性ポリマーを起用し、ポリマーの分子量とペプチドの導入率を制御することでこれらの改善をはかった。 まずポリマーの主鎖としてPHPMAとPHEMAという2種類の生体適合性ポリマーに注目した。PHPMAの分子量制御について詳細な合成条件の検討を行った結果、APSとTEMEDを重合開始剤として用い、水中、室温でのフリーラジカル重合にてMwが約770kDa、192kDa、14kDaで、いずれもMw/Mnが1.3~1.4のPHPMAを合成する条件を確立した。一方、PHEMAは1,000kDa、300kDa、20kDaのものを購入し、エステル化反応によるアルキンの導入に成功した。以上の結果は、主鎖の分子量制御に加え、クリックケミストリーによるペプチドの導入率制御につながる有用な成果である。
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Research Products
(2 results)