2010 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアーゼシグナル応答分子によるウイルス感染細胞特異的な新規遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
09J06872
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
倉本 政則 九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 医用材料 / HIV-1プロテアーゼ / エイズ / 遺伝子キャリア / PSA / 前立腺癌 / 近赤外蛍光プローブ / in vivoイメージング |
Research Abstract |
昨年度、我々はペプチドグラフト型のプロテアーゼ応答性高分子を開発し、HIV-1固有のプロテアーゼを指標として培養細胞レベルで遺伝子の発現制御に成功したことについて報告した。これらの成果は副作用の少ないエイズ遺伝子治療に大きく貢献することが期待される。しかし、本ポリマーを医用材料として実用化するためには、分子量とペプチド導入率の制御を含めたin vivo仕様の分子設計と疾患モデル動物における機能評価が必要であると考えられた。ところが、ウイルス性疾患を標的とする場合、動物評価が極めて困難であるという問題に直面した。 そこで、本年度はin vivo仕様の分子設計を施したプロテアーゼ応答性高分子を設計し、疾患モデル動物の作成が容易な癌を標的とした新たなテーマを立ち上げた。本研究では、前立腺癌組織で特異的に異常亢進しているPSAというプロテアーゼに応答して近赤外蛍光を発するプローブを開発し、前立腺癌組織を選択的に可視化するシステムの構築を目指した。 まず、そのような蛍光プローブとして生体適合性高分子であるPHPMAを主鎖とし側鎖に著者が独自に開発したカチオン性ドメインを有するPSA基質ペプチドと近赤外蛍光基であるCy5.5をグラフトしたポリマー(PSAsip)を設計した。本ポリマーの分子量と側鎖の導入率はClick chemistryを利用した新たな合成戦略によって制御した。また、本イメージングにFRETを利用するため、Cy5.5の消光基であるBHQ-3をグラフトしたコンドロイチン硫酸(CS_<BHQ>)を合成した。 PSA_<sip>はCS_<BHQ>と静電相互作用を介して30nm~100nmの非常に安定な粒子を形成することでマウスの正常な組織内では消光し、一方でPSAを発現した前立腺癌組織内では顕著に蛍光が回復することが示された。これらの成果は前立腺癌の低侵襲的な外科手術に大きく貢献することが期待される。
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Research Products
(2 results)