2009 Fiscal Year Annual Research Report
ホヤ幼生の筋肉、脊索、中枢神経系の形成過程における細胞分化と細胞周期制御の相関
Project/Area Number |
09J06882
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 三紀 (徳岡 三紀) Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 発生生物学 / 細胞増殖 / 細胞分化 / Myc / ホヤ |
Research Abstract |
本研究では、まず初めにホヤ幼生の脊索、筋肉前駆細胞および神経板細胞の細胞分裂パターン(分裂の回数とタイミング)の追跡方法の確立とその記載を行う計画であった。2009年度は、脊索、筋肉前駆割球に関しては、予定通り蛍光色素DiIを用いた標識実験および単離割球部分胚の核染色による追跡方法を確立した。また、この実験系を用いて、単離割球部分胚における細胞分裂パターンが正常胚中のものと同一であることを明らかにし、脊索、筋肉の細胞分化に伴う増殖停止は細胞自律的に制御されていることを示した。一方、神経板細胞に関しては、2008年度から、沖縄科学技術研究基盤整備機構・マリンゲノミクスユニット(代表研究者:佐藤矩行博士)が中心となり、ホヤ幼生の中枢神経系の神経細胞(約100個)を網羅的に記載するプロジェクトが開始されたため、本研究において神経板細胞の細胞分裂パターンを記載することは中止し、彼らと連絡を取りつつ、彼らの記載の終了を待って、それ以降の研究に取り組むことにした。その代わりに、2009年度は間充織と内胚葉に関する研究を行った。 ホヤ幼生を構成する組織の多くは、尾芽胚中期頃までに細胞増殖を停止するが、成体の中胚葉組織、内胚葉組織のそれぞれを構成する幼生の間充織と内胚葉は、胚発生期、幼生期、変態期を通じて細胞増殖を継続している。そこで、幼生の間充織と内胚葉に焦点を当て、特殊化された前駆細胞における細胞増殖を継続するための細胞周期制御機構の解明を目指した。 幼生の間充織、内胚葉の増殖継続に関与する候補として、bHLH型転写因子であり細胞増殖の正の制御因子として知られるMycに着目した。ユウレイボヤMyc(Cs-Myc)は間充織と内胚葉の前駆細胞で神経胚期以降に胚性の発現を示し、モルフォリノを用いた翻訳阻害実験を行った結果、Cs-Mycが幼生の間充織と内胚葉の増殖の継続に必要であることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)