2010 Fiscal Year Annual Research Report
ホヤ幼生の筋肉、脊索、中枢神経系の形成過程における細胞分化と細胞周期制御の相関
Project/Area Number |
09J06882
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 三紀 (徳岡 三紀) 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 発生生物学 / 細胞増殖 / 細胞分化 / Myc / ホヤ |
Research Abstract |
2010年度は、ホヤ幼生の間充織、内胚葉における増殖継続のメカニズムの解明を目指した研究を行った。 2009年度の研究において、bHLH-LZ型転写因子であるユウレイボヤMyc(Cs-Myc)が幼生の間充織と内胚葉の増殖の継続に必要であることを示していたが、2010年度ではさらにその解析を進めた。まず、Cs-Mycは間充織、内胚葉の細胞増殖を制御するが、これらの組織の特殊化には必要ではないことを明らかにした。次に、アンチセンス・モルフォリノオリゴを用いた翻訳阻害実験を行った結果、Cs-Mycの間充織と内胚葉における胚性の発現は、それぞれの組織の特殊化においてキーとなる転写因子であるCs-Twist-like1およびCs-Lhx3bによって制御されていることを明らかにした。つまり、Cs-Twist-like1とCs-Lhx3bは、間充織、内胚葉の特殊化、およびCs-Mycを介した細胞増殖の継続という2つのイベントに必要であるといえる。また、Cs-Mycが、細胞周期の進行を制御する因子であるCs-CyclinA, B, D, EおよびCs-CDK1,4/6の、間充織と内胚葉における胚性の発現を制御することによって、間充織と内胚葉の細胞増殖の継続に関与しているということも明らかにした。 2011年度は、Cs-Twist-like1とCs-Lhx3bによりCs-Mycの発現が制御される仕組みと、Cs-MycによりCs-CyclinA, B. D, EおよびCs-CDK1,4/6の発現が制御される仕組みの詳細を明らかにしていきたい。
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