2010 Fiscal Year Annual Research Report
論文体テストの運用の為の実証研究―測定論的課題の検証と評価データの分析法の開発-
Project/Area Number |
09J06892
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇佐美 慧 東京大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 小論文 / 教育評価 / パフォーマンス評価 / 多変量解析 / 項目反応理論 / 階層線形モデル / 教育測定 / バイアス |
Research Abstract |
〈研究1:思考力テスト開発研究への応用〉 今年度,小論文評価データの収集,採点・分析・フィードバックに関する一連の作業を終了することができ,その結果が「小論文評価データの統計解析」として行動計量学に掲載された.小論文形式を含むテスト問題の作問や採点デザインについて具体的な示唆と現状の問題点を指摘するものである.また,民間の研究者と共に,入社試験時の参考資料としての利用を目的とした思考力テストの開発も行っており,新たな追加事例報告として準備を進めている. 〈研究2:補助データを積極的に取り入れた項目反応モデルの提案〉 小論文評価を含む幅広い文脈で,(例えば学習方略尺度得点と実際のパフォーマンスの関連を評価する意図で,興味あるテストデータなどとは他になんらかの)尺度項目群への回答データが含まれる場合に,ベイズ的なアプローチによりこれら補助データを含めながらパフォーマンスとの関係性を評価する為の手続きを「Generalized graded unfolding model with structural equations for subject parameters」としてJapanese Psychological Research誌にまとめた. 〈研究3:階層データにおけるサンプルサイズ決定の統一的議論〉 学力調査や大規模試験の実施においては,個人(生徒)のデータが学校などのより高次の抽出単位にネストされている場合が多い.このような時にある決まった観点(私立・公立,少人数制の導入の有無,共学であるか否か)から群間の得点差を比較したい場合におけるサンプルサイズ決定の問題について,異なる複数のデータ収集デザインについて統一的に議論した結果を現在教育心理学研究において投稿中である.また,より一般的な観点から,水準の数に制約を設けない場合の検定力評価の問題について検討を行った結果をBehaviormetrika誌にまとめた.
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