2010 Fiscal Year Annual Research Report
グレブナー基底及び格子を用いた商特異点の特異点解消に関する研究
Project/Area Number |
09J06922
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
関谷 雄飛 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 商特異点 / 特異点解消 / マッカイ対応 |
Research Abstract |
本研究の目的は、代数多様体上の商特異点の特異点解消に関する研究である。特異点解消の存在性、特にゴレンシュタイン商特異点に対するクレパント解消の存在性などは他分野とも関連して重要な問題である。3次元以下のゴレンシュタイン商特異点の場合には、伊藤-中村により導入されたG-ヒルベルトスキームという空間を考えればよかったが、一般にはG-ヒルベルトスキームの性質はよく知られていかい。そこで、グレブナー基底や格子など計算機で計算可能な道具を用いて、その性質を調べた。その際、Warwick大学やGlasgow大学を訪れReid氏、Craw氏などと情報交換を行った。その結果、既約でないための十分条件を与え、例をいくつか構成することができた。しかし、非特異性、クレパント性などに関しては結果を得ることはできなかった。 そこで、近年、急速に発展しつつある多元環の表現論を用いることにした。非可換環と代数多様体の関係については、Van den Berghによる非可換クレパント解消と呼ばれる非可換環が重要な役割を果たす。従来の代数幾何では(可換)環から多様体が構成されるが、ここでは非可換環からGIT商として多様体が構成される。特に、GIT商とクレパント解消の関係が重要であり、3次元の可換群の場合にはCraw-石井により調べられている。3次元の非可換群の場合への拡張を目標とし、山浦浩太氏と共同で、まずは2次元の場合に、GIT商と非可換クレパント解消(前射影代数)の傾理論に関する研究を行い、その関係を明らかにした。さらにこの結果を高次元のカラビ-ヤウ代数の場合に一般化し、商特異点上のクラスター傾加群とクレパント解消の対応に関する研究を行った。非可換環と代数多様体の関係については今後益々の発展が期待できる。
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