2010 Fiscal Year Annual Research Report
根のコルメラ細胞におけるデンプン代謝とそれが環境適応に果たす役割の解明
Project/Area Number |
09J06932
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中山 真由美 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | デンプン / シロイヌナズナ / 根 / 環境応答 / オルガネラ / アミロプラスト / 小胞体 / オートファジー |
Research Abstract |
シロイヌナズナの根が水分勾配刺激を感受して水分屈性を発現する際に,重力感受細胞として知られるコルメラ細胞のアミロプラストのデンプンが消失する現象が見出されている.この分解によって,重力感受性が低下し重力屈性の発現が抑制され,それに伴い水分屈性の発現が容易になることが予想されるが,植物の成長制御に重要な重力屈性や水分屈性における刺激感受やシグナル伝達は解明されていない.そこで,根の環境応答を理解する新たな制御機構の解明の糸口として,本研究では,根のコルメラ細胞におけるデンプン代謝を視覚的,分子生物学的に解析し,それが植物の環境適応に果たす役割を明らかにすることを目的として実験を行った. これまでの本研究の電子顕微鏡等を用いた形態学的な解析結果から,水分勾配刺激時にはコルメラ細胞のアミロプラストがオートファジーの様式で液胞に取り込まれることにより分解されることが示唆され,また同時に,水分勾配刺激に応答してコルメラ細胞内の核および小胞体の局在が変化することが明らかとなった.本年度はこれらのオルガネラ変動とデンプン動態の因果関係,またそれと屈性発現の関係を明らかにするため,オートファジー関連遺伝子の発現およびautophagosomeやautophagic bodyのマーカーであるGFP-ATG8aを共発現する形質転換体について解析した,その結果,水分勾配刺激時によってAtATG18a遺伝子の発現が上昇し,autophagosomeが形成されることを証明し,オートファジーが誘導されることを明らかにした.これらの知見は植物の環境ストレス応答における新たな制御機構を示すもので,植物の乾燥環境下で機能する生存戦略を理解する上で極めて重要であると考えられる.
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