2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経ネットワーク理論を用いた睡眠覚醒制御機構の解析
Project/Area Number |
09J06989
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
上野 太郎 Kumamoto University, 医学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 睡眠 / 覚醒 / ショウジョウバエ / ドーパミン / power-law / 時間的組織化 |
Research Abstract |
睡眠および覚醒は、哺乳類から昆虫まで見られる生理現象であり、その分子基盤の解明が待たれている。遺伝学的ツールとして広く用いられるショウジョウバエにおいても睡眠覚醒の存在が知られており、昆虫と哺乳類において共通の遺伝子が保存されているため、睡眠覚醒の分子基盤を解明するためのモデル動物としてショウジョウバエは適している。 本研究の目的は、ショウジョウバエをモデル動物として睡眠覚醒の制御機構を解明することである。ショウジョウバエを用いた睡眠研究は、従来、概日リズム研究で用いられてきた行動検出系を使用することで睡眠覚醒を判定していた。この行動検出系は概日リズムの研究という元々の使用目的から、時間的・空間的分解能が低く、睡眠覚醒に伴う行動解析には十分ではないと考えられた。そのため、ビデオ撮影を用いた行動検出系を作成し、より詳細な行動解析を行った。また、行動の定量化のために、画像解析システムを用いたプログラムを作成した。これにより時間的・空間的に高分解能な行動解析が可能となった。この行動データを元にショウジョウバエの活動および休息の時系列解析を行ったところ、休息時間がpower-law分布に従い、活動時間が指数分布に従うということが分かった。さらに、この時間的組織化は、概日リズムや温度、ドパミンなどの睡眠覚醒に影響を与えるとされる因子によらず、休息時間のpower-law性および活動時間の指数性はこれらの操作群でも維持されていた。休息時間のpower-law性および活動時間の指数性はマウスおよびヒトでも報告されており(Nakamura et al, 2008)、ショウジョウバエでも同様の行動パターンが認められたことから、行動の時間的組織化を制御する分子基盤の解明が期待される。
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Research Products
(5 results)